「…付き添い、ですか?」
いきなりのことに、マカは首を傾げた。
「うん、つい最近ここに来た子なんだ。だから、マカちゃんと共に仕事して、慣れてもらおうかなと」
「それなら、キ…じゃなくて、4205に頼めば良いんじゃないですか?」
「キムはね、もう三人ばかりお願いしちゃってるのよ。それに、毎日のようにここに導かれた人たちを宥めているし、これ以上
負担をかけさせるのも可哀想だから」
マカは、無駄に忙しさが舞い込んだ気がする…。と、気づかれない程度の苦笑いをした。…隣の鎌には感付かれたが。
「開始早々災難だな」
ソウルは、ちょっと笑いを含んで言った。
「…会長の前では口を慎みなさいソウル」
「偉そうに棒読みすんなよな…あだっ!」
ソウルがあまりにも呆れた言い方をしたからか、マカは思いっきり、鎌の刃の部分を殴った。ソウルの頬が、少し赤く
なった。
「まぁまぁ、落ち着いて。それよりも、ここに来た子を紹介したいんだけど」
「あの、どんな人なんですか?」
「そうだね、あんまり、年は変わらないと思うよ。きっとすぐに仲良くなれるんじゃない?」
同い年。一番仲良くなりやすくて、最も対立しやすい年齢だった。マカの不安が、微妙に強くなった。
「それと、マカちゃん、日本のDeath codeは何番まであるか知ってる?」
急に話題を変えられて、吃驚したマカだったが、すぐに答えた。
「確か01から05までですよね?」
「うん、だけど、その子はあのキッドよりも能力が高いらしくてね、特別に、4200の番号が与えられたんだ」
00…。別名・超越。今までにないことらしい。
だけど、何で…。マカの頭の中に、疑問が浮かんだ。
「今、このホールに来ているから、まぁ顔合わせということで」
会長はそう言うと、ステージの横にある扉を開けた。中から、人が一人、出てきた。どんな人なんだろう?と、マカの楽しみ
と期待と心配が大きくなる。
「…随分と待ちましたけど」
そこから出てきたのは、茶髪の女の子だった。といっても、髪型は、セミロングの髪を首の辺りで折って髪留めでとめていて
、前髪をゴムで縛っていた。とめ忘れなのか、スタイルなのかは定かではないが、一束だけ長い髪が前に出ていた。
「なんか…」個性的というか、変というか…。マカは彼女の外見を見て、少し引いてしまった。
「黎阿ちゃん、この子がこれから一緒に仕事するマカちゃんだよ」
「はぁ…」
れあ、と呼ばれた彼女は、会長に無愛想な、不安そうな返事をした。まだ此処が恐いのか、それとも…。
「あ、こ、これからよろしくね!」
とにかく、まずは仲を良くしなければとマカは、手を伸ばしながら元気な声で言った。
「…うん、よろしく」
黎阿は面倒臭そうに、マカと握手した。顔も仏頂面で、けだるそうだった。
帰り。なんか、先が思いやられそうだなぁ…とマカは肩を落とす。会長は、明後日から行ってもらおうかなと呟いていた。
「ほんとに、大変なことになりそうだな」
「…そうだね」
黎阿は私のことが、嫌なのだろうかと、マカは、帰り道、ずっと悩んでいた。
To be continued.