しばらくすると、一人の看護婦が話しかけてきた。
「マカ=アルバーンさんの治療終わりましたけど…あ、病室は302号室です」
「あぁ、分かりました」
俺が病院に来てから3時間経っていた。俺は走って病室へ向かった。夜遅くになっていたから、そっとドアを開けると、一番
奥の右側のベッドに彼女がいた。
遠くから見た彼女の姿は、普通(いつも)の姿となんら変わりは無かった。
近づいて見てみた。彼女は寝ていた。扉の所で見たときと違ったのは、顔の右半分が包帯で隠されていたことだった。
他にも、両腕とか見えてる場所はほとんど白かった。所々紅くなっていて、痛々しかった。あの看護婦によると、3日くらいは
麻酔で目が覚めないといった。マカの起きている姿が見られないとなると、なんか違和感を感じるんだろうなぁ、とまあ呑気なことをその時は考えていた。
「―の…あの、今日はもう遅いので…」
後ろからいきなり声をかけられてびっくりしたが、さっきとは別だけど看護婦だと分かってほっとした。流石にもう今日が
終わりつつあったから、しょうがなく、また俺は来た道を一人で帰ることになった。
一人が、孤独がこんなに寂しいとは知らなかった。
走っているときの、風が顔に当たるのが初めてうざったく感じた。
帰ってくると、ブレアはもうマカの部屋で寝ていた。一人でいたせいか、マカが怪我したせいかは分からないが、ずっと泣いていたのだろう、眼のまわりが少し赤くなっていた。こっそりと部屋を出て、俺も何もせずに寝ることにした。けれど、いつも後で様子を見に来てくれる、彼女が今日は居なくて、なかなか寝付くことが出来なかった。
それから3日間、俺は病院に通った。やることも特に無かったし、彼女に突然何があるか分からないから、側にいたほうが安心かなと思った。
自分への慰めだったのかもしれなかったけど…。
「……」
途中、何人か見舞いに来た。みんな、口々に「早く元気になるといいね」って言って帰っていった。声の調子で、心からか、口先だけか分かってしまうのが、哀しかった。
あれから3日。マカが目覚めるはずの日だ。今日は、黒☆星とキッド組が見舞いに来てくれた。
「まぁ…まさかとは思ってたけど」
「ひどいな…」
「マカちゃん…」全員が彼女の有様を見て顔を歪めた。
当日よりは収まったが、さっき変えた包帯が所々赤くなっていた。
「…それで?今日起きるんだっけ?」
「その、はずなんだけど」
「?」
マカが目覚めるのが、嬉しいはずなのに、どことなく不安があった。起きてくれても、マカは前のように笑ってくれない感じがして…。
「どうした?浮かない顔して」表情に出ていたのか、黒☆星が顔を覗いてきた。
「え、別に…」すぐに目を伏せた。こんな表情は、今誰にも見せたくなかったから。少しして、突然、マカの瞼が動いた。
「「!」」皆が彼女の方を向く。
「マカ?」
期待していた、ずっと待っていた。誰もが信じていた。
彼女が、また元気に、「元のままに」なることを…。
そして、マカは
目を、開けた。